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「前例と予算」の考え方との妥協点を探るのに、かなりの時間を掛ける積りで行うことが要求される。
また、文書主義に東縛される自治体と、多少なりとも現場第一主義に移行が見られる自治体では、住民の意向の汲み上げに、かなりの差があるようである。
同一部署に2年ないし3年しか勤務せず、タテ割りのために、途中で担当者が変ると、すべて初めからやり直さなくてはならない国及び自治体の現体制の中では、自治体職員個人の考え方では、直ちに住民参加の形に方針を持って行こうとしても、組織そのものが容易に動かない場合が多い。
しかし、極めて近い将来の地方分権のあり方とも睨みあわせて、すべての自治体が住民の意向を迅速に受けとめることの出来る現場主義に、今のうちから方向を転換させる動きを示してもらいたいし、実際に成功を収めている市町村はこの方向を目指している感じがする。
この際最も大切なのは、調査会資料でもわかるように、1回のイベントに終らせずに、のちのちまで残せる形にするには、どのような手段があるかを、出発当初でも企画や練習の進行中、もしくは実施後の可能な限り早い段階での考慮や方法の決定である。資料の中でも、今後の維持に障壁があるところが散見されるが、発足のエネルギーのあるうちに、まさに鉄は熱いうちに打ての気持ちで対策を講じておくべきである。
維持可能の目安は、2回目を実施出来るか、どうかにかかっているようである。2回目が越えられたイベントは、その後かなりの年月にわたって受け継がれていくエネルギーを持続する傾向がある事実を、報告並びに資料は示している。
小規模の市町村博物館や美術館は、開館当初はかなりの集客能力があるが、国家的建設建造物や発掘遺跡にしても、最もエネルギーの高いのは最初の1年間であり、2年後には徐々にもしくは急激な下降になる場合が多い。
出発当初ほどではないにしても、その後着実な集客能力を維持している博物館美術館あるいは親水地域や自然小動物園は、常に新しい企画を立てて、空気を吹き込む努力を怠っていないことと、地元及び近隣への宣伝を、巧みに機会をとらえて行っていることである。
問題点の一つは、假りに個人などはグループで館を建設しても、都道府県庁もしくはその教育委員会が全く関心を示さず、公務員で来館するのは税務署員だけという慨嘆がどこでも聞かれ、このために1、2年たつと廃館の兆候が現れる事実である。
勲章や賞状の濫発に対する批判はともかくとして、公(おおやけ)によって認められるのは、人間にとって喜びや励ましを与えられるものである。
文化会館、博物館、美術館、図書館等の文化施設の横の連絡が極めて乏しいのが現状である。個人やグループが設立した館に公立は無関心であるし、自治体は自ら出向こうとは

 

 

 

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